今回の舞台は、広島県尾道市
そのお好み焼き屋さんの前で映画の撮影が始まろうとしています。
ピンクと赤のストライプのシャツに、黄色いリボンの帽子を目深に被った女性。
アクションの声で顔を上げた瞬間、そこにあったのはサチコの顔でした。
果たしてどうしてサチコが映画に出ることになったのでしょうか。
・遡ること二週間前の編集部
サチコと編集長が、姫村光先生の『あかね色の海』の映画化の話で盛り上がっています。
その映画の舞台は尾道。
サチコの撮影は順調との報告に、編集長のテンションもうなぎ登りです。
おじさん世代にとっては、尾道と言えば大林監督の尾道三部作。
語ろうとする編集長を制しサチコは蘊蓄を語ります。
それは、姫村先生の受け売りでした。
そもそも、今回映画化される作品は、姫村先生の尾道語りを原点としていました。
その話を聞いて、映画のヒットと、続編の期待を編集長はするのです。
今回サチコが姫村先生を映画の撮影現場である尾道に連れて行くのも、続編への刺激のためでした。
・姫村先生は大きな子ども?
尾道へ向かう新幹線の中、映画の台本を手にしながらサチコと姫村先生が話しています。
撮影の現場を楽しみにしている姫村先生はワクワクが止まりません。
そのために新調したスマホを弄り、音楽を鳴らしたり、写真を撮ったりと、落ち着かない様子です。
サチコが話しかけても上の空。
しかも姫村先生は、いい人なんですが、好奇心が旺盛で、さらに天然で放浪癖があります。
近くの座席にいる子どもの本に興味を持って話しかけてしまうほどです。
・何とか尾道着いたものの
姫村先生の自由人っぷりはさらにアップしています。
ネコを見つけては撮影をし、映画の『転校生』に出てきた神社に行きたいと言い始めるのです。
サチコは何とかそれを制して撮影現場のお好み焼き屋さんに連れて行きます。
無事に撮影現場に入り、関係者各位に挨拶を果たします。
しかし、やはり映画の小道具が気になるようです。
監督を通り越して、カチンコへ向かいます。
そして、サチコの不安通り、勝手に手に取ると、如何にも監督風にアクションと言ってしまうのでした。
・話は思わぬ方向へ
謝るサチコに、監督は気を悪くすることもなく、エキストラ出演の提案をします。
驚くサチコとは対照的に興味を示す姫村先生。
二人はお客として、お好み焼き屋さんに入ってくる役になります。
そして、冒頭の映画出演のシーンに繋がるのです。
座るだけでセリフがないので何とかなりそうとサチコは考えたのですが、そう簡単には終わりません。
一緒に出演する姫村先生がエキストラの役を勘違いして、酔っ払いの演技をしてしまいます。
しかも、なりきりすぎてしまい、このままでは撮影に迷惑をかけてしまいそうです。
そこはサチコがホステス役になりきることで、姫村先生の注意を自分に向けることに成功しました。
こうしてサチコの渾身の演技で何とか無事に撮影終わり、一旦解散となります。
・夜の懇親会の前に、サチコのお腹が鳴ります
撮影も、打ち合わせも終わったサチコは空いた時間に尾道の町を歩いています。
そんなサチコの前に現れたのがお好み焼き屋さん。
迷う事なく入店します。
おばちゃんが目の前で焼いてくれるスタイルのお店で、『村下流尾道焼き』を注文します。
待つことしばらくして、出てきたのは胡椒かけるタイプの珍しいお好み焼き。
心地よいジュージュー音と湯気がサチコの食欲を刺激します。
コテで切って口に含むと、意外なコリコリ感がサチコを襲うのです。
そこにキャベツのシャキシャキと、麺のモチモチが絶妙に組み合わさります。
その上に深い味わいを感じてサチコは疑問を持つのです。
おばちゃんに特徴を尋ねると、砂ずりとイカ天が入っていることが分かります。
コリコリが砂ずり、深い味わいがイカ天であることを知ったサチコは、満足してさらにもう一口。
今度は半熟の卵部分が合わさってまろやかなハーモニーを奏でます。
そこに、直前にかけた胡椒がサチコの食欲をそそります。
サチコは、知っているお好み焼きとは違う尾道焼きの味に感動するのでした。
尾道焼きを食べ、存分に堪能したサチコに撮影現場にいた清水さんから電話が来ます。
何と姫村先生がホテルから消えてしまったのです。
慌てて探し始めたサチコが思いついたのは、行きたいと言っていた『転校生』の神社でした。
神社の階段を上っていると、姫村先生の携帯の着信音が境内の方から聞こえてきます。
しかも電話が繋がったことで安堵するサチコ。
電話越しに焦りながら姫村先生に声を掛けながら階段を上がります。
そして、階段の頂上に辿り着いたサチコの目の前に立っていたのは、姫村先生ではなく謎の美女でした。
・『忘却のサチコ』第110歩の感想
今回のお話は尾道が舞台でした。
やはり雰囲気の良い町ですね、それに尾道焼きはおいしそうです。
普通の広島風お好み焼きと比べて、ちょっと入っている中身が違います。
イカ天などはまだあるのですが、砂ずりは珍しいです。
確かに独特の食感が味わえると思います。
しかし、気になるのは姫村先生の行方です。
そして、サチコの目の前に現れた美女は何者なのでしょうか。
本当に映画『同級生』のように入れ替わってしまったのか、謎が残ります。
予想としては落とした携帯を拾ってくれたパターン。
姫村先生が敢えて女性に携帯に出てもらったパターン。
などが考えられます。
果たしてどのような展開を迎えるのでしょうか。
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